善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

アイルランド旅行記 その1

7月11日(金)から21日(月)まで、アイルランドを旅行してきた。今回は個人旅行ではなく、ユーラシア旅行社主催の「南北アイルランドケルト世界へ 11日間」というツアーに参加した。
11日間という限られた期間で南北アイルランドを周遊するとなれば、個人旅行より団体旅行の方がメリットが大きいと感じた。ユーラシア旅行社は、団体で行くときよく利用しており、料金はちょっと高めだが、至れり尽くせりのサービスが魅力。

アイルランドは、ヨーロッパ文化の源流といわれるケルト文化が今も色濃く残る国。それは、ヨーロッパの西の果ての極西の島国という地理的条件が影響しているのかもしれない。キリスト教の力はたしかに及んだが、他の宗教を廃絶するまでには至らず、昔ながらの自然崇拝と融合した形で広がっていったという。

アイルランドが「妖精の国」と呼ばれるのも、古代からの神話や伝承が今も息づいているからだろうか。

アイルランドは文化・芸術の国ともいわれる。『ガリバー旅行記』のジョナサン・スイフト、『ユリシーズ』のジェイムズ・ジョイスバーナード・ショー、サミュエル・ベケットオスカー・ワイルド、いずれもアイルランド出身であり、ビートルズもイギリス・リバプール出身だが4人ともアイルランドの血が流れているという。
日本の怪談を世界に紹介したラフカディオ・ハーンも、父はアイルランド人であり、幼少期にダブリンで暮らした。

そして、長きに渡るイギリス支配に負けじと、自らのアイデンティティを示すため、大地を踏みならす踊り、アイリッシュダンス(リバーダンス)。

いろいろと興味のつきない国がアイルランドである。

アイルランドでの日程は、ダブリン→ベルファスト(ここで2泊してキャリック・ア・リード吊り橋、ザ・ダークヘッジ、ジャイアンツ・コーズウェー、タイタニック博物館などベルファスト市内観光)→ロスコモン(コリブ湖畔の村コング)→ゴールウェイ(2泊して、バレン高原、モハーの断崖、アラン諸島イニシュモア島のドゥーン・エンガス)→ダブリン(3泊して、タラの丘、ニューグレンジ、ダブリン市内観光、ダブリン近郊の海岸散策、リバーダンス鑑賞、グレンダーロッホ、パブめぐり)。

11日間といっても、東京からアイルランドはやっぱり遠い。行きに2日、帰りも2日かかるから、実質的な観光は7日しかない。もうちょっといたかったなーという場所もあったが、致し方ない。

飛行機はエティハド航空。最初、ドバイかアブダビ経由と聞いていたから「エミレーツかな?」と思っていたら、エティハドという聞いたことのない航空会社。しかし、UAE国営というれっきとした会社らしい。ただ、日本に乗り入れるようになったのが最近なので、あまり知られていない。
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成田21時10分発の「EY871」便。待合室で待っていると、パイロット姿の金髪美人がさっそうと飛行機に乗り込んでいく。あとで聞いたらエリザベスさんという副機長だった。

何しろアイルランドへ行くまでが長い。日本時間21時すぎに出発して、アブダビ着が翌朝の3時20分。不思議なことに予定より1時間も早く到着した。
次のダブリン行きは9時15分発の「EY41便」なので、6時間近く待たなければいけない。
しかし、アブダビ空港はドバイ空港と比べるとちょっと小さめな感じ(工事中のところもあったからまだこれから拡張するのかもしれないが)で、土産物屋も品数が少ない。
その上、われわれが待つ51番ゲートは冷房が効きすぎて、極冷えの状態。この点は出発前に添乗員さんのアドバイスがあったので、上着を持っていって正解。幾重にも着込んで出発を待つ。おかげで持参した司馬遼太郎の『街道をゆく 愛蘭土(アイルランド)紀行』を読了。

機内食は普通。しかし、機内のエンターティメントはイマイチ。日本語字幕あるいは吹き替えの映画は少なく、昔のスティーブ・マックイィーンの『ブリット』を観たら、何と日本語の吹き替えと英語が半々だった。

成田からアブダビまで乗っている時間は11時間ほど。6時間待って、アブダビからダブリンまでは8時間。アブダビからイラク、トルコ上空を通って、ヨーロッパを横断してイギリスを突っ切ってダブリンに着いたが、アムステルダム発のマレーシア航空機は、少し北のルート、ウクライナ東部上空の高度1万メートルを飛行中に地上からのミサイルで撃墜された。ニュースで知ってゾッとした。
アブダビの上空から市内を眺める。
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機内食
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アイルランドに到着。上空から。
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ダブリン着は14時25分ごろ。空港内はこんな感じ。
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待っていたバスがドでかいバスで、何と全長14メートル、60人はラクに乗れるという超大型バス。おかげでゆったりと座れた。

ダブリンに着いても、きょうはダブリンには泊まらない。一路、北アイルランドベルファストへ。

ベルファストと聞くとある年代の人はやっぱりゾッとするに違いない。イギリスからの独立や宗教差別をめぐる問題で武力紛争が起こり、血で血を洗う爆弾テロが相次いだのがベルファスト。紛争は一応収束したらしいが、根本的な解決に至ったのかどうかはわからない。とにかく今、ブルファストは平和なようだ。だからわれわれ外国人も自由に行くことができる。

自由といえば、EUは行き来がかなり自由になった。アイルランド北アイルランドが属するイギリスもともにEU加盟国だが、EUに入るときはパスポートを提示するだけでよく、入国カードは必要なくなった。入国審査官もやさしくて、日本のパスポートを見せると「いらっしゃいませ」とかカタコトの日本語で迎えてくれた。帰るときはパスポートのチェックもなく、フリーパスでバイバーイ。

国と国との隔たりをなくそうとするのがEUの理想なのだろうが、遠い外国人に対してもおだやかに迎えてくれるようだ。(ただし、飛行機に乗るときのボディーチェックはかなり厳しかったが)。

自由度はアイルランド北アイルランドでも同じ。
そもそもイギリスは、本島のイングランドスコットランドウェールズの3国をグレート・ブリテン(G・B)と呼び、これに北アイルランドを入れてユナイテッド・キングダム(U・K)、正式には「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」と呼ぶ。だからアイルランド北アイルランドはまったく別の国。ただし国境などはなく道路に標識が立っているだけだが、アイルランド公用語アイルランド語ゲール語)と英語なので、道路標識にはゲール語と英語が併記されているのに対して、北アイルランドに入るやいなや表示されるのは英語のみ。通貨も、アイルランドはユーロだが、北アイルランドはポンド。まあ、両方とも車は左側通行なので、ぶつかる心配はないが。

かくて夕方、ベルファストのホテルに到着。市街地よりちょっと離れた郊外にある「カローデン」というホテル。何でも昔は司教の館だったそうで、ベルファストの入り江を望む場所にあり、広大な庭の中に建つお城のようなホテル。シャンデリアとかステンドガラス、天井の絵など、豪華で優雅な雰囲気。
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庭に面した部屋でリッチな気分に浸る。室内から庭を眺めたところ。
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ブットレアという花があちこちで咲いていた。
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夕食は敷地内の別棟のレストランで。
アイルランドでは、バーとレストランが別会計になっているところが多いようで、まずバーのカウンターでビールやほかの飲み物を注文して料金を払い、ビールをレストランに持っていき、料理を注文する(テーブルでまとめて注文する店もあったが)。
バーでは生ビールがズラリ。ベルファストでも主役はギネスビール。
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料理は前菜またはスープに、メーンはチキンか牛肉、あるいは魚料理をチョイス(牧畜の国なのに不思議と羊の肉はなかった)。付け合わせのジャガイモがドーンと出る。デザートは甘いケーキ。案の定、メーンの料理はどこも量が多くて、しばしば残す。
小麦の産地らしくパンはどこもおいしかった。

かくてアイルランドでの第1日は終わる。