享保20年(1735年)の磐城(いわき)の国。湯長谷藩は1万5千石の小藩で、しかも財政は火の車。参勤交代の費用まで事欠くありさまだが、2年に一度の参勤交代を終えて、ホッとしているのも束の間、藩主・内藤政醇(佐々木蔵之助)の元に、幕府より「5日以内に参勤せよ。間に合わないならお家断絶」とのお達しが早馬で届く。
通常なら8日間を要するところを、実質4日で行かねばならない。しかも、金はない。
実は、湯長谷藩の金山を狙う幕府の老中・松平信祝の策略なのだが、それにしても大変。そこで政醇は、知恵者の家老・相馬兼嗣(西村雅彦)とともに4日間での参勤交代を可能にする奇想天外な作戦を練り、実行に移すが、松平もそれを阻止せんと刺客を放っていた──というお話。
実は、湯長谷藩の金山を狙う幕府の老中・松平信祝の策略なのだが、それにしても大変。そこで政醇は、知恵者の家老・相馬兼嗣(西村雅彦)とともに4日間での参勤交代を可能にする奇想天外な作戦を練り、実行に移すが、松平もそれを阻止せんと刺客を放っていた──というお話。
日ごろ、参勤交代とか早馬とか飛脚とか、江戸時代の交通に興味を持っていたので、バカバカしい題名だけどひょっとしておもしろいのでは?と出かけていく。
日曜日とはいえ、午前中の第1回の上映なので客席はヒスカスカと思いきや、けっこう席は埋まっていた。しかもオジサン・オバサンばかり。
それにしてもこれだけお客を集める映画は久しぶり。
日曜日とはいえ、午前中の第1回の上映なので客席はヒスカスカと思いきや、けっこう席は埋まっていた。しかもオジサン・オバサンばかり。
それにしてもこれだけお客を集める映画は久しぶり。
バカバカしいと思ったらなかなかのケッサクだった。
山田洋次監督の映画によく出ていた神戸浩のナレーションがほんわかしていい(そういえば配給は松竹)。
冒頭、その神戸が扮する農民が丹精込めて育てたダイコンを、江戸から帰ってきた藩主の内藤政醇が畑のなかへズカズカと入っていってガブッとひとかじりし、「うまい!」とつぶやく。
豊かな大地と地道に働く農民とによって育てられた自然からの贈り物をまず登場させて、実はこれが本作のテーマであることを暗示する。なかなかニクイ始まり。
冒頭、その神戸が扮する農民が丹精込めて育てたダイコンを、江戸から帰ってきた藩主の内藤政醇が畑のなかへズカズカと入っていってガブッとひとかじりし、「うまい!」とつぶやく。
豊かな大地と地道に働く農民とによって育てられた自然からの贈り物をまず登場させて、実はこれが本作のテーマであることを暗示する。なかなかニクイ始まり。
そして最後にも、「土」についてのやりとりがあり、将軍・吉宗(市川猿之助)のセリフ。
吉宗は磐城産のタクアンをボリッと食べて「土の香りがする」。そしてこう言う。
「上に立つものは、この磐城の土を決して汚してはならぬぞ。未来永劫にな」
磐城といえば福島原発のすぐそばにある。
吉宗は磐城産のタクアンをボリッと食べて「土の香りがする」。そしてこう言う。
「上に立つものは、この磐城の土を決して汚してはならぬぞ。未来永劫にな」
磐城といえば福島原発のすぐそばにある。
このセリフで、この映画のテーマが単に「土と民」ではなく、原発事故という現代的な問題にあることに観客は気づかされるのであった。
笑って泣いて、そして最後は考えさせる作品。