善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

法隆寺-祈りとかたち

いつも展覧会に行くときに一瞬迷うのは、「見てから食べるか、食べてから見るか」。

つまり、午前中のすいているうちに見て、それからゆっくり昼メシにするか、逆に、さっさとお昼をすましてから午後にゆっくりと鑑賞するのがいいか。
ところが、展覧会は午前中がすいているかと思ったら、最近はヒマなおじさま、おばさまたちが午前中にドッと押しかけるのでかえって混んでいるのだとか。

それできのうは、お昼を食べてから東京芸大美術館で開催中の「法隆寺-祈りとかたち」(6月22日まで)をみることにした。

昼は銀座5丁目のアナゴの店「銀座ひらい」へ。

夜はメニューも豊富なのだろうが、昼はアナゴのオンパレード。アナゴのフルコース料理にも心ひかれるが、本日はランチでがまん。ビールも抜き。
しかし、ランチもいろいろあり、箱めしの上に煮アナゴを乗せたのと焼きアナゴを乗せたの、さらには両方乗せたの、それにアナゴほかをまぶしたチラシ寿司もあるようだが、本日は両乗せの「ならび」を注文。これにアナゴの肝吸い(300円)をつけて1,900円。
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煮アナゴのふわふわ感と、焼きアナゴのパリッとした食感が同時に楽しめ、堪能。
次々とお客がやってきて常に満席だったが、値段もそこそこするので若い人は少ない感じ。
店を出ると、となりのタンメンがおいしいという中華の店には若いサラリーマンが行列をつくっていた。

銀座から地下鉄で上野へ。駅から公園への階段をえっちらとのぼり、公園をつっきって芸大美術館へ。腹ごなしにはちょうどいい。
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法隆寺は今から1400年も前の7世紀に聖徳太子によって建立されたと伝えられ、現存する世界最古の木造建築で知られる。今回の展覧会は法隆寺に伝えられる仏教美術作品のうち70点を紹介。特に注目は金堂の毘沙門天と吉祥天だが、火災で焼損した金堂壁画の模写の展示も見逃せないものだった。

特に必見は芸大出身(当時は東京美術学校)の鈴木空如による阿弥陀浄土図などの模写作品。
空如といっても知る人は少ないだろうが(私も、先日のNHKテレビ日曜美術館で初めて知った)、日清戦争に従軍して悲惨な戦場を目の当たりにしたのち、東京美術学校で絵を学び、生涯で3度も金堂壁画の模写を行ったというが、その業績は埋もれたままだった。

そして、空如が没して3年後の1949年、国による模写事業が行われていたさなかに法隆寺金堂壁画は火災により燃えてしまい、それまで忘れ去られていた空如の模写が注目されるようになった。
空如の模写は、もともと絵が描かれた当時の姿を美しくよみがえらせるのではなく、朽ち果てた姿をそのまま再現するもので、かえってそれがリアリティあふれたものとして見る者に迫ってくる。

ほかの仏教美術にもみるべきものがあった。
たとえば、今回、事情があって出品できなくなった仏像に代わって、三経院の広目天立像、多聞天立像が特別出品として展示されていたが、これが生き生きとして出色。
多聞天は伸び上がる姿がどこか生身の人間っぽくて親しみがもてる。一方の広目天は、普通のなら鬼を踏んづけているはずなのに、右足をひょいっと上げて、まるで踊っているよう。

金堂天蓋付属品の「鳳凰」。クスノキ材でつくられたというが、鳳凰が脚を前に出して翼を翻した姿で、何とシャープな造形。

ところで、同じ芸大の敷地にある陳列館では、同じく6月22日(日)まで「別品の祈り-法隆寺金堂壁画」が開かれていて、こちらは入場無料。

2階では最新の技術により原寸大で復元された焼損前の金堂壁画が展示されている。朱塗りのエンタシスの柱に挟まれ、壁画が実際の金堂と同じ配置に並べられていて、木の壁の木目も含めてホンモノそっくりに見えるが、こっそり触ってみると写真とわかる。

1階では8Kプロジェクターを使って法隆寺金堂をテーマにした映像作品が上映されている。

ちなみに陳列館の展示の主催は、COI-T「感動」を創造する芸術と科学技術による共感覚イノベーション実行委員会、だそうだ。