善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

寅さんと佐藤オリエ

先々週からBSジャパンで『男はつらいよ』全48作の放送が始まった(毎週土曜日の午後6時54分から)。

映画の公開のときから見続けているから当然すでに全作品を見ているし、その後のテレビの放送も見てるけど、またやるとなるとやっぱり見たくなる。
先週は第2作の『続・男はつらいよ』で1969年の作品。その日は見られなかったのでビデオでとっておいてゆっくり見た。

マドンナは佐藤オリエ。ほかに、かつての恩師に東野英治郎佐藤オリエの父親役)、生き別れとなった寅の瞼の母ミヤコ蝶々、物語の最後でマドンナと結ばれることになる若い医者に山崎努

40年以上前の作品だからみんな若い。特に美しくて聡明そうなのが佐藤オリエ(何しろフジテレビでやっていた『若者たち』のころからのファン)。
『若者たち』のときは彼女が23歳ぐらいで、『続・男はつらいよ』に出演したのは26歳ぐらいのとき(ちなみに山崎努もこのころまだ30ちょいすぎだった)。

男はつらいよ』のマドンナといえば何度もこの映画に出たリリー役の浅丘ルリ子の名前がまずあがるが、佐藤オリエも忘れられない。
実は映画『男はつらいよ』の前に同じ渥美清主演、山田洋次脚本のテレビ版『男はつらいよ』があり、全26回の全編を通してのマドンナ役が佐藤オリエだった。

映画の最後のシーンで佐藤オリエが寅の後ろ姿をじっと見守るシーンがあるが、そのまなざしは実にやさしくて、美しく、心に残る。何度見ても、笑って、泣ける作品。

何十年ぶりかで恩師の坪内散歩先生(東野英治郎)と再会するシーンもいい。
坪内逍遥をもじってか「散歩」)
寅と酒を酌み交わしながら、散歩先生は漢詩を吟じる。

人生相見ず
ややもすれば参(しん)と商の如し
今夕(こんせき)また何の夕べ
此の燈燭の光をともにする

散歩「寅、わかるかこの意味が」
寅「先生、おれは英語ぜんぜんダメだよ」
散歩「バカだな~、これは英語ではない、漢詩だ!」

杜甫の「贈衛八処士(衛八処士に贈る)」という詩で、さらに延々と続くが、その意味を散歩先生が教えてくれる。

人生において一度別れた友と再会するのははなはだ難しいことである。
ともすれば夜空のオリオン座とサソリ座のように、遠く隔たったきり会えないままになってしまうことだってある。
それなのに、今宵は何と素晴らしい夜であることか。
君と、この燭台を挟んで相向かいあえたのである。
お父さんの友だちが来たというので、子どもたちは質問攻めにするが、酒を持ってこいと追い払い、2人は杯を重ねよう。

見てるほうも誰かとイッパイやりたくなった。