善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

釜山・慶州の旅4 釜山はサクラの町だった

4月5日から8日まで3泊4日の釜山・慶州の旅、続き。

3日目は7時半ごろからホテル(国際ホテル)近くで朝食屋探し。フグの絵が描いてある店をのぞくが、だれもいない。
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「まだやってないのか?」と歩きかけると、おばさんが顔を出して手招きしている。
どうやら早めにオープンしてくれるようだ。
ただし、店内はハングル文字だけで、何を注文したらいいかわからない。
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おばさんも日本語はわからないらしい。オススメは1人前1万2000ウォン(960円)のフグ鍋のようだが、いくらなんでも朝っぱらから1万2000ウォンは豪華すぎると、「3人で1人前でいいよ」と身振り手振り、紙に「小」の文字まで書いて説明するが、おばさんは韓国語をまくしたてるだけ。「まかせなさい」といってるようなので、とにかく頼む。
やがてマナイタの上に包丁がズドンドン!と落ちる音。
果たして、大きな鍋いっぱいの、ゆうに3人前はあるフグ鍋が登場。フグのぶつ切りがたっぷり入っている。ご飯もついていて〆はフグ雑炊。
ウーム、朝からフグで満腹とは。ただし、さすがに酒は飲まず。
あとから地元の人が数人連れ立って入ってきて、その人たちは小さめのどんぶりでフグを食べていた。あちらが正解。

いったんホテルに戻って、あらためて9時出発。
実はナント、一緒に行った友人が九州出身で、九州在住の元同級生の女性がほとんど同じ日程で釜山ツアーにきていて、しかも同じホテル。きょうは午前中フリーで、午後帰国するというので、じゃー午前中行動をともにしましょうとなった。
あちらは女性2人連れ。総勢5人で出発。地下鉄チュンアン(中央)駅で降りて釜山タワーをめざす。
龍頭山という山の上の公園にそびえる118メートルのタワー。展望台からの眺めがすばらしい。
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公園には韓国の偉人、李舜臣銅像もある。
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豊臣秀吉朝鮮侵略のときの朝鮮軍の武将で、日本軍を撃退した民族的英雄。甲冑をまとい、大剣を手にして、はるか南の海をにらんでいる。その先には日本があるに違いない。

山をくだり、国際市場を歩いて、チャガルチ市場へ。
タチウオ、タコ、サバ、イシモチ、アンコウなどなど、日本でもよく見る魚が並んでいる。同じ漁場で魚を獲っているのだから、店先に並ぶ種類もまるで同じだ。
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きのう目星をつけておいた店に入る。
もらった名刺をよくよくみたら「元祖無添加刺身店」とある。これが店名なのだろうか。それにしても釜山には「元祖」の店が多い。それにしても「無添加刺身店」とは?
カニ、アワビ、ヒラメ、タコの刺身などなど。タコはまだ生きていて、のたうっていた。
日本ではヌタウナギ、韓国ではコムジャンオと呼ぶ一見グロテスクな魚(正確には魚ではなく、原始の姿を持つ深海生物らしいが)の刺身が意外とおいしい。

カニも食べたのでさすがに5人で23万6000ウォン(1万8880円)。

きのうパラパラだったサクラがきょうは満開というので、午後はサクラの名所へ。
まずは都心のソミョン(西面)にあるロッテデパート近くのサクラ並木。見事に咲いている。
もっと見事なところがあると聞いて、タクシーで「広安里ビーチ」へ。
海の近くの「三益ビーチタウンアパート」(かなり広大)の真ん中を通るサクラ並木が延々と続いていて、満開の花を咲かせている。
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子ども向けにワタアメなどの甘いもの屋さんも出ていて、家族連れでにぎわっていた。
ただし、ワタアメは日本のように割り箸ではなくプラスチック製の容器に入っていた。
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人々はそぞろ歩くだけで、木の下に座り込んでイッパイやっている連中は皆無。

それにしてもこんなすごいサクラ並木は日本でもなかなか見られない。しかも団地の中にあるのだから。
そういえば慶州を案内してくれたカモメツアーの曺さんは「サクラの原産地は韓国」といってた。ホントか?
調べてみたら、サクラの原産地は諸説あるが、ヒマラヤから中国南西部にかけての地域だという。その後、東へ、西へと分布を広げていったのだそうで、韓国が原産地ではなく、日本でもないようだ。
ただ、異種同士がくっついて新しい種類ができて、それがその国で自生したというのはあるだろう。
ちなみに日本でよく目にするソメイヨシノは、「オオシマザクラ」と「エドヒガン」が合わさってできた。江戸時代、東京・豊島区にあった「染井村」で人為交配され、昔からサクラの名所として知られる奈良県吉野山の吉野をイメージして、染井村で生まれた吉野桜というので「ソメイヨシノ染井吉野)」と命名されたという。

こんなエピソードもある。
韓国のサクラの名所というと釜山から車で1時間ほどのところにある鎮海のサクラが知られている。ちょうど年に1度のお祭りの時期でもあり、われわれも行こうと思ったが、今年は開花が遅れているというのでパスした。
しかし、ここはかつて日本統治時代に軍事都市として開発され、サクラが至るところに植えられたという。解放後、サクラは日本の統治時代を思い出させるというので市民の手でほぼ全て切り倒されてしまった。しかし、60年代に入って、鎮海に多かったサクラの品種は王桜(ワンポッコッナム)という種類で、これは原産地が韓国の済州道であることがわかり、当時の朴正煕大統領が桜の植樹を指示したこともあって、今のような34万本ものサクラが咲く「花の都」になったという。

そのまま団地を通り抜けると、ビーチがひろがっている。視界の先に海の向こうを全長7キロに及ぶ広安里大橋。
その先に86階建ての超高層ビル。マンションだというが、日本人も購入しているとタクシーの運転手がいっていた。
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数年後には100階建てのビルも建つらしい。高さは500メートル以上で、完成すればドバイのブルジュ・ドバイ(808メートル)についで世界で2番目、台湾・台北のタイペイ101(509メートル)を抜いてアジア一の高さとなるんだとか。
釜山は地震がないから安心というが、ホントに大丈夫なんだろうか。

夜は西面にある済州島の料理で有名な「済州家」へ地下鉄で行く。
アワビのバター焼き、アワビ粥、ウニとワカメのスープなど。それにマッコリで3人で7万ウォン(5600円)。
その後、屋台でクジラの刺身に赤貝の蒸し煮。クジラは普通ならベーコンにして食べる部位で、それを刺身で。なかなかの珍味。
赤貝は小さい赤ちゃんみたいなのを蒸し煮にしてある。赤貝もクジラも、量が多くてとても食べきれない。それに焼酎で合わせて5万4000ウォン(4320円)。

翌日は朝8時半に迎えがきて帰国の途へ。
結局、グルメが中心、ちょぴりサクラと古都を訪ねた3泊4日の旅だった。
帰りの飛行機の中では『ミッションインポッシブル』の最新作を見るが途中で着陸。
お疲れさんでした。