きのうは国立劇場の文楽公演。9月公演は「開場45周年記念」と銘打って、第1部は「天下泰平 国土安穏 寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)」「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)御殿殿の段」「近頃河原の達引(ちかごろかわらのたてひき)堀川猿廻しの段」
パンフレットを買ったら絵はがきがついてきた。
いつもは早くても11時開演なのに、「節電」と称して10時半開演。あわただしく会場に出かけていく。
パンフレットを買ったら絵はがきがついてきた。
いつもは早くても11時開演なのに、「節電」と称して10時半開演。あわただしく会場に出かけていく。
「寿式三番叟」では住大夫の隣に弟子の文字久大夫。聞き始めたころはまだ声が若かったが、だいぶ貫祿がついてきた。名人上手になるには月日が必要なのだろう。
出色は「伽羅先代萩」。特に政岡のせがれ千松が八汐に殺され、政岡が1人残ってからの場面がすばらしかった。義太夫は津駒大夫、三味線・寛治、人形は政岡・紋寿。この取り合わせがいい。津駒大夫の張りのある声がよく響いて、舞台の緊張感はいや増す。
政岡の赤い着物が鮮烈に目に焼きつく。
政岡の赤い着物が鮮烈に目に焼きつく。
簔助の八汐の憎々しいこと。頭(かしら)も「八汐」という名前で、いかにも意地悪そうな形相はもともと「伽羅先代萩」の八汐に由来しているのだろう。
栄御前は文雀。このところ病気休演が多くて久々に観たが、少し痩せた感じはしたが元気そうだった。風格ある演技。
人間国宝2人に挟まれて、紋寿の政岡が熱演。子を思う政岡の心情が、観る者に迫ってくる。
「近頃河原の達引」は、勘十郎が猿回しの与次郎をやるというので楽しみにしていたが、勘十郎は棒を振り回すだけで、実際に2匹の猿を操るのは黒子。1人の黒子が2本の手(あるいは指か?)で上手に猿を動かしていて、実にユーモラスだった。
プログラムには、主遣いの名前は出てても黒子の名前はない。あれだけ観客の喝采を浴びる演技をしているのだから、黒子だとて名前を出してもいいと思うのだが、習慣だからしょうがないか。
プログラムには、主遣いの名前は出てても黒子の名前はない。あれだけ観客の喝采を浴びる演技をしているのだから、黒子だとて名前を出してもいいと思うのだが、習慣だからしょうがないか。