善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

大いなる西部

きのうNHKBSで懐かしい映画をみた。
グレゴリー・ペック主演の『大いなる西部』(原題は『The Big Country』。今から50年も昔の映画。なのに内容はまったく色あせず、胸に迫ってくる。

1870年代のテキサス州サンラファエルに、東部からヤサ男がやって来た。ジェームズ(ジム)・マッケイ(グレゴリー・ペック)。そこでは湧き水の利用をめぐる2つの家の対立があり、やがてヤサ男のジムも抗争に巻き込まれていく。広大な西部の自然をバックに、人と人との対立、気高さ、愛、家族の問題を詩情豊かに描く。バックに流れる音楽がまたいい。

監督はウィリアム・ワイラー。出演陣が懐かしい。グレゴリー・ペックのほかにキャロル・ベーカー、チャールトン・ヘストン(まだ若いころ)、ジーン・シモンズチャック・コナーズ(「ライフルマン」というテレビ映画で主役だったが、この映画では悪役)などなど。
何10年かぶりにこの映画をみて、意外なストーリーに驚かされた。

あらすじをいうと──。
1870年代のテキサス州サンラファエルに、東部から1人の紳士ジェームズ(ジム)・マッケイ(グレゴリー・ペック)が、有力者テリル少佐の1人娘パット(キャロル・ベイカー)と結婚するためにやってきた。

パットの父テリル少佐は広大な牧場を所有していたが(なにしろ飼ってる牛の数1万頭)、谷のほうではルーファス・ヘネシー家も大牧場を経営していて、両者はことあるごとに対立していた。

2人がともに目をつけている水源のある土地ビッグ・マディを、町の学校教師でパットの親友ジュリー・マラゴン(ジーン・シモンズ)が所有していた。彼女は一方が水源を独占すれば必ず凄惨な争いが起こるところから、どちらにも土地を売ろうとしなかった。

少佐は「ヘネシー家はならず者の集団だ」と見下し、「正義はこっちにある」と、ことあるごとにヘネシー家を挑発し、ささいな出来事をとらえてはヘネシーの息子たちを捕まえてリンチを加えたり、ヘネシー家の牛が水源地に水を飲みに来るのを妨害したりするのだが、そんな少佐の態度にジムは相いれないものを感じるようになる。

彼は争いの元になっている土地ビッグ・マディを見て、女主人ジュリーに会い、中立の立場で誰にでも水を与え、自分でこの地に牧場を経営したいと申し出て彼女と売約契約をかわす。

そんなこととは知らないヘネシーは、水源地ビッグ・マディを手に入れて大佐に対抗するため、ジュリーを監禁。ジムは単身ヘネシーの本拠に乗り込み、水源は自由にすると明言してジュリーを助け出そうとする。

へネシーの息子バック(チャック・コナーズ)は、ジュリーに対する横恋慕からジムと決闘するが、卑怯な振舞いから父に射殺されてしまう。
少佐とスチーブの一隊が乗り込んできて撃ち合いが始まるが、結局、1対1で対決した大佐とヘネシーは相撃ちで死んでしまう。
憎悪による対立と暴力の終焉。ジムはジュリーの腕をとって、西部の大地に馬首を進める。

実は「正義」を振りかざすテリル少佐こそが非道であり、いかにも悪そうな風貌で、どうしようもないワルを息子に持つヘネシー家のあるじルーファス・ヘネシーこそ、善意の人だった。
この映画の本当の主人公は、このルーファス・ヘネシーを演じたパール・アイブスではないか、と思うほど、味のある演技だった。
実際、あとで調べたら、パール・アイブスはこの映画でアカデミー助演男優賞ゴールデングローブ賞助演男優賞を受賞している。

昔の映画をあらためてみると、若いころには見逃していたいろんな発見があるものだ。(てゆうか今回はあまりに基本的なことだが、何10年もたってると記憶は遠く彼方ということもあるのだろう)