善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

ジャコウアゲハが羽化したよ!

金曜日朝の善福寺公園は小雨。傘を差して公園1周。

 

まず上池をめぐり始めると、遠くにカワセミ

オスのマルちゃんのようだが、ツレアイのヤエちゃんは子育てしてるのに、マルちゃんは?

 

ゴイサギが、飾り羽を揺らしながら羽繕い中。

 

さっきのマルちゃんらしいのが別の場所に。

エサをねらっているところか。

 

下池にまわってカワセミを探すが、姿はなし。

代りに、というわけではなかろうが、チョウトンボがとまっていた。

けさはずっと小雨が降り続いていて、トンボの姿は目立って少ないが、チョウトンボは平気なのか。

幅の広い翅でチョウのようにヒラヒラ飛ぶのが特徴のチョウトンボ。

かなり長い時間、翅を休めてジッとしていた。

 

今年は緑色のカマキリばかり見るが、初めて茶色のカマキリ。

小枝になりきって獲物を待ち受けてる?

緑色の茎になりきっているカマキリも。

 

毎日観察しているジャコウアゲハの蛹。

蛹を発見したのは今月2日で、少なくともその1日か2日前には蛹になっていただろうから、きょうで約2週間たつのでそろそろ羽化かな?と期待して近づく。

すると何と、羽化したあとだった。

おそらく夜のうちか明け方までに羽化して、どこかに飛び去ったのだろう。

でも、無事成虫になったのだろうから、よかったね。

 

先日の緑色に続き、けさは茶色のウンモンスズメ。

翅の模様が雲に似ているスズメガの仲間、というので「雲紋雀(ウンモンスズメ)」。

迷彩模様が美しいが、緑色になったり、茶色になったり、個体差があるといわれる。

横からみると、後翅が赤くなっている。

とまっているときはわからないが、ホバリングすると赤色が見えるというが、一種のチラリズムだろうか。

子育てするハートマークのカメムシ

木曜日朝の善福寺公園は小雨。さほど歩きにくくはなさそうなので傘を持って出かける。

 

雨が降ってもアオサギは平気な様子。

やっぱりアオサギは水鳥だ。

 

カワセミもエサを獲るため水中にダイブするから水鳥か。

遠くでオスのマルちゃんらしいのがとまっていた。

子育てはどうなってるの?

 

アゲハチョウが翅を休めていた。

かなり大きいが、翅はボロボロ。尻尾の突起もとれちゃってる。歴戦の果てだろうか。

カラスアゲハ、それともクロアゲハ?

大きさからすると夏型か。

チョウには蛹で越冬する春型と春に生まれて夏に成虫になる夏型とがあるが、総じて夏型は春型よりひとまわり大きいという。

成虫の大きい小さいは幼虫のときに食べた葉っぱの量で決まる。

秋から冬に幼虫時代をすごす春型は、どうしたって葉っぱが乏しいときをすごさなければいけないし、葉っぱが豊富な夏型はもりもり食べて大きくなる。

何だか人間も似ているような・・・。

 

ハートマークのついたカメムシ発見!

名前はエサキモンキツノカメムシ

昆虫学者の江崎悌三氏が学名をつけ、背中のハートマークの紋が黄色いので紋黄、ツノカメムシ科の仲間、というので「江崎紋黄角亀虫(エサキモンキツノカメムシ)」。

昆虫はふつう、親は産みっぱなしでどこかへいっちゃうが、自分が産んだ卵や孵った幼虫をメス親が守る習性があるのだとか。

ハートマークはただの飾りではない?

カワセミの2番子が生まれた!?

水曜日朝の善福寺公園は、始め曇り、やがて晴れ。風なく蒸し暑い。

 

上池では、遠くの方に若造らしいカワセミ

やがて姿が消えた。

 

久しぶりにシラサギがやってきていた。

コサギかな?

 

下池に回ると、いつもの定位置にアカトンボ。

このところ毎日同じ場所で休んでいる。

きのうはお尻を高く上げていたが、けさは下げていた。

 

スイレンの葉っぱの陰からアオサギが顔を出した。

 

メスのヤエちゃんらしいカワセミを発見。

ダイブしてエサをゲット。

すると何と、捕らえた小魚の頭を上にする給餌くわえをした。

すぐに飛び去っていった。

メスが給餌くわえをするということは、ヒナに与えるために違いない。

カワセミは春から夏にかけてが繁殖期で、多いときで3回ぐらい子づくりをする。

今年はメスのヤエちゃんとオスのマルちゃんで1度、子育てに成功しているから、おそらく2番子が生まれたのだろう。

子育てがうまくいくといいんだけど・・・。

 

上池に戻ると、さっきは若造クンだったが今度は大人のカワセミ

オスのマルちゃんだろうか?

 

赤っぽい穂の先に真っ赤っかのアカトンボ。

 

池のほとり近くで、羽化したばかりのニイニイゼミを発見!

脱け殻の上にいてジッとしている。

まだ翅を乾かしているところか。

全体にまだら模様で、ところどころ青みがかっていて、美しい。

お目メを拝見すると、カメムシの仲間だというのがよくわかる。

脱け殻は泥がついているのが特徴で、まだ黒っぽい。

 

すると近くにカナヘビがいて、こちらもジッとしていた。

 

別の場所でも羽化直後のニイニイゼミ

そういえばけさは、きのうに増してニイニイゼミが鳴いている。

東京はお盆を前に早くもセミの季節が到来したようだ。

きのうのワイン+映画「FALL フォール」「大脱出」

ドイツの白ワイン「ラインガウス リースリング・フォルラーツ(RHEINGAU RIESLING VOLRATZ)2022」

ドイツ・ラインガウにおける最古のワイナリーの一つであるシュロス・フォルラーツの白ワイン。ブドウの透明感ある味わいを最大限引き出した美しい仕上がりが特徴で、ラインガウを代表する品種リースリングのよさがぎゅっと詰まった「お手本」ともいえるスタイル、と宣伝文句にあり。

 

ついでにその前に飲んだワイン。

チリの赤ワイン「ヒューソネットカベルネ・ソーヴィニヨン(HUSSONET CABERNET SAUVIGNON)2020」

イタリアの名門アンティノリがチリで手掛けるワイナリー、アラス・デ・ピルケのワイン。アラス・デ・ピルケは競走馬を育てる牧場とワイナリーを兼ねていて、この牧場で種雄馬生活を送っていた名馬「ヒューソネット」にあやかり、名づけられた。

自社畑の厳選した区画で栽培した高品質なブドウから仕立てるシリーズ。赤・黒系果実のアロマ、フレッシュな果実味とミネラル感や土の風味が混ざり合う、複雑な味わい。

 

ワインの友で観たのは、民放のCSで放送していたイギリス・アメリカ合作の映画「FALL フォール」。

2022年の作品。

原題「FALL」

監督スコット・マン、出演グレイス・フルトン、ヴァージニア・ガードナー、メイソン・グッディング、ジェフリー・ディーン・モーガンほか。

地上600メートルの超高層鉄塔に取り残された2人の女性の運命を描いたサバイバルスリラー。

 

山でのフリークライミングの最中に夫・ダンを落下事故で亡くしたベッキー(グレイス・フルトン)は、悲しみから抜け出せず1年が経とうとしていた。ある日、ベッキーを立ち直らせようと親友のハンター(ヴァージニア・ガードナー)が新たにクライミングの計画を持ちかけてくる。

今は使われていない地上600mのモンスター級のテレビ塔をターゲットとして選んだ彼女たちは、老朽化で足場が不安定になったハシゴを登り続け、なんとか頂上へと到達することに成功。そこでベッキーは夫の遺灰を空から撒くことで、彼を偲び、新たな1歩を踏み出す決意を示すが、それもつかの間、ハシゴが崩れ落ち、2人は鉄塔の先端に取り残されてしまう・・・。

 

ハンパない緊迫感が連続の映画。

始まって早々に2人は600mの高さの鉄塔の先端に立つが、物語はそこから始まる。

鉄塔の途中までは三角形の鉄枠の中にハシゴがあるのでのぼっていくが、途中から太い鉄製のポールだけとなって、そこに外付けのハシゴがついていて、そのハシゴが老朽化していて崩れ落ちてしまい、何とか2人で座れるだけの狭いプラットホームに取り残される。

ハシゴがなければ鉄製のポールを降りていくことはできない。持参したロープは短くてとても届かない。

スマホで連絡をとろうとするが、アンテナからの電波干渉で信号が遮断されて電波は届かない。

物語のほぼすべては鉄塔のテッペンに取り残された2人の女性の悪戦苦闘が描かれるのだが、これがなかなか怖くてハラハラさせて、緊迫感の連続。ついつい引き込まれてしまう、よくできた映画だった。

 

引き込まれる理由がわかった。

こうした映画はだいたいがCGが多用されていて、「すごいなー、よくできてるなー」と感心はしても、非現実すぎてリアルさは乏しいものだが、本作にはそれがない。

監督は、もちろんCGは使っているものの実写によるリアルな表現にこだわったそうで、2人の演技は室内につくったセットでのものではなく、撮影のために600mの高さの崖を探し、その崖の上に塔の最上部として高さ20mの塔を実際に建設。2人は野外にできたこの塔で演技して、高さ600mのリアルな状況をつくり出したという。

実際の野外での演技のため2人の役者にはスタントマンのオファーもあったが、彼女らは自分でスタントを行うことを選択。本当に600m上空の鉄塔の上での演技という感じで、その役者根性やスゴイ。

 

ちなみに、物語はフィクションだが、モデルとされた鉄塔は実在していて、2000年に米国カリフォルニア州に建てられた高さ625mのテレビ用支線式鉄塔KXTV/KOVRタワー(別名サクラメント・ジョイント・ベンチャー・タワー)がそれ。同州では最も高い建造物であり、東京の東京スカイツリー(634m)も含めて史上7番目に高い建造物だとか。

 

ついでにその前に観た映画。

民放のCSで放送していたアメリカ映画「大脱出」。

2013年の作品。

原題「ESCAPE PLAN」

監督ミカエル・ハフストローム、出演シルベスター・スタローンアーノルド・シュワルツェネッガージム・カヴィーゼルほか。

アクションスターの2大巨頭、シルベスター・スタローンアーノルド・シュワルツェネッガーが初めて本格ダブル主演した作品で、最新のセキュリティで固められた監獄から脱出を図る男たちの姿を描くサスペンスアクション。

 

自ら脱獄してみせることで刑務所内の警備上の弱点を指摘するセキュリティーコンサルタントであるレイ・ブレスリンシルベスター・スタローン)に新たな仕事の依頼が舞い込む。

それはCIAからの依頼で、連邦政府が極秘支援している絶対に脱出不可能とされる非合法の民営監獄であり、報酬も2倍出すという。依頼を承諾したレイだったが、拉致同然に連れて行かれた彼は今まで見たことがない造りの監獄に閉じ込められる。

レイは危険を感じて計画中止のサインを所長のホブス(ジム・カヴィーゼル)に伝えるが、彼は知らないといい、騙されたことを知る。そこには恐るべき陰謀が隠されていた。

脱獄のため監獄の様子を観察するレイに同じ囚人のエミル・ロットマイヤー(アーノルド・シュワルツェネッガー)が話しかけてくる。ロットマイヤーの正体は世界を股にかける義賊であり、彼もまた脱獄したいといい、2人は協力することを約束する。

やがて、監獄の弱点を探し出そうとするレイだったが、監獄の場所は何と、公海上に浮かぶ巨大タンカーだった・・・。

 

本作の公開時、スタローン67歳、シュワルツェネッガー66歳。さすがに寄る年波には勝てずアクションは控えめ。

それでも、脱獄不可能の監獄が実は海に浮かぶ巨大タンカーというのは意表をつくアイデアだった。まわりは360度に広がる大海原。しかも船内の奥深くに閉じ込められているので、世界に広がる7つの海のどこにいるかさえわからない。

そこでレイは、ペンやメガネを使って六分儀をつくり、北極星の高度を調べて緯度を測定し、位置を知ろうとするのだが、北極星を観測するには船の外に出なければならない。

このときレイに味方したのがイスラム教徒の囚人ジャヴェドだった。彼は、せめて一度は外に出てアッラーの方向に向かって祈りを捧げたいというので、空が見える場所での祈りを許される。ジャヴェドは祈りを捧げるフリをして六分儀を使って緯度の割り出しに成功。レイはトイレの水が流れるときの渦の巻き方から、南半球ではなく北半球だというので、自分たちがいる場所を突き止める。

スタローンとシュワルツェネッガーの肉体派俳優がただぶつかり合うだけのアクション映画かと思って観ていたら、さすが年の功というべきか知恵を働かせる場面もあり、なるほどと思うところもあった。

ニイニイの次はアブラゼミ?

火曜日朝の善福寺公園は、晴れたり曇ったり。朝からの蒸し暑さは変わらず。

 

池のほとりのイトトンボ

少し胴の長さが短く見えるが?

よく見るアオモンイトトンボとアジアイトトンボを比べると、アジアのほうがひとまわり小さいといわれるけど、ひょっとしてアジアイトトンボ

 

黒いアゲハが忙しく飛んでいる。

胴体が黒っぽいからジャコウアゲハじゃない。

カラスアゲハ、それともクロアゲハ?

 

下池を半周して下池へ。

途中、ニイニイゼミの脱け殻をいくつか見る。

池のほとりに、ニイニイゼミよりひとまわり大きいセミの脱け殻。

アブラゼミも羽化を始めた?

 

アカトンボがピンとお尻を上に向けてとまっていた。

 

カワセミの鳴き声がするので探すと、枝の上からエサをねらっているところ。

最近、下池で見るのは今年生まれた若造だが、どうも違う。

メスで、しかも大人のようだ。

ひっとして上池からヤエちゃんがやってきたのか?

場所を移動してエサをねらっていて、飛び立った瞬間。

上池方向に飛んでいった。

 

まだ小さいジョロウグモがエサをゲット。

小さくったって食べるときは食べる。

 

ミスジチョウが翅を広げて休んでいた。

いつも見るミスジチョウと比べると小さめだからコミスジかな?

波国・匈国(ポーランド・ハンガリー)の旅 ~その11 アウシュビッツと日本の関係ふたたび

宿の近くにロバート・キャパの名を冠したアートギャラリーがあった。

ロバート・キャパ現代写真センター」といって、ハンガリー出身の報道写真家ロバート・キャパの現存する最大のコレクションを所蔵しているという。

ロバート・キャパのデビュー作で、彼の名を最初に知らしめたトロツキーの演説を撮った写真。

トロツキーを撮ったときの35㎜のネガフィルムも展示されていた。

ほかにも、「崩れ落ちる兵士」とか、“ちょっとピンボケ”で知られるノルマンディ上陸作戦の写真など。

キャパのポートレートも展示してあった。

キャパが日本にやってきたときの写真もあった。

キャパは本名をフリードマンアンドレといって、「ロバート・キャパ」という名前は、彼の恋人で同じ写真家だったユダヤポーランド人のゲルダ・タローとともに生み出した架空の写真家の名前だった。写真が売れなかった初期のころ、自分たちの写真を「アメリカのすごい写真家、ロバート・キャパの作品」とすることで、フランスの編集者に本来の倍近い値段で売ることができたという。それに味をしめ、以後、名前をロバート・キャパとすることにしたのだとか。

ちなみにゲルダ・タローのタローというのも架空の名で、パリにいたときキャパと親しかった岡本太郎にちなんでタローと名乗ったというが、26歳の若さで戦場で亡くなっている。

ゲルダは反ファシズムのシンボル的な存在だったという。彼女の死は多くの人々を悲しませ、パリ市内の墓地に埋葬されると、彼女の墓碑をデザインしたのはジャコメッティだった。逆にナチスゲルダを憎んだのだろう、パリ占領後、ゲルダの墓碑銘は削り取られてしまうが、ジャコメッティは戦後ふたたび新たな墓碑をつくっている。

ゲルダの突然の死はキャパに大きな喪失感をもたらした。彼は何日も部屋に閉じこもり、ようやく涙が涸れ果てたとき、彼はひとりのキャパとして生きていく決意をしている。

 

そんなキャパの写真の数々を見ていて、ポーランドアウシュビッツを訪ねときに抱いた疑問のひとつ、すなわちその当時ドイツと同盟国だった日本はユダヤ人に対するホロコーストにどうかかわったか、気になってますます頭から離れなくなった。日本に帰ってから少し調べたことがあるので書き記しておきたい。

 

大日本帝国だった戦前の日本は、ユダヤ人に対してはもともと寛容な政策をとっていたという。

ところが、1936年に日独伊防共協定、1940年に日独伊三国軍事同盟が締結されると様相は変わる。1941年12月に太平洋戦争が勃発すると、1942年3月、日本はユダヤ人への寛容な方針を転換し、「元来猶太人(ユダヤ人)は悪い奴ゆえ、今後これを厳重に取り締まらんとする趣旨」の「時局に伴ふ猶太人対策」を決定している。

その前の1941年5月、駐日ドイツ大使館付警察武官として東京に赴任した人物にナチスドイツの親衛隊将校、ヨーゼフ・マイジンガーがいた。彼はポーランドワルシャワで大量虐殺を行い「ワルシャワの虐殺者」と異名を取った男だった。

彼は、日本滞在中、日本の憲兵隊や特高警察と連絡を取り合い、「反ナチス」と目された在留ドイツ人の摘発をしたりしていたらしいが、当時の日本政府にホロコーストの加担を要求したともいわれている。

1942年6月には、親衛隊トップでホロコーストの指揮を取ったヒムラーの命を帯びて上海に赴き、日本政府に対し上海にいるユダヤ難民の「絶滅」を迫り、ユダヤ人虐殺のための3つの案として「廃船にユダヤ人を詰め込み、東シナ海日本海軍に撃沈させる」「岩塩坑で強制労働に従事させ過労死させる」「長江河口に収容所を建設し、ユダヤ人を収容して生体実験の材料にする」を提示した。しかし、日本政府はこの案を受け入れなかったといわれる。

その後もマイジンガーは特高警察などと連携を取りながら終戦まで日本にいたが、進駐してきた連合国軍に逮捕されポーランドワルシャワに移送されて裁判にかけられた。同地における虐殺行為の罪で死刑判決を受け、1947年3月、絞首刑に処せられている。

このように日本は、ナチスイデオロギー的には一致していても、ヨーロッパ人であるユダヤ人に対してはホロコーストに加担することはなかったようだ。

それは、ユダヤ人に限らず、ロシア人や米国人、英国人などの「白人」に対して持っていた「劣等感」ゆえかもしれない。むしろ、そうした“白人コンプレックス”の裏返しとして、日本は同じアジア人である中国人や朝鮮人に対して、「優越感」丸出しの差別意識にもとづく残虐な行為を行っている。

戦後になって明らかになったのは日本軍による中国の捕虜などに対する細菌戦のための人体実験で、その中で最もよく知られているのは、石井四郎軍医中将(終戦時の階級)によってつくられ、中国東北部ハルビン郊外にあった七三一部隊関東軍防疫給水部)だ。

しかし、最近の研究では、七三一部隊は中国各地からシンガポールなどの南方にまで広がる「石井機関」の一部にすぎず、そのかなめは東京の陸軍軍医学校防疫研究室にあり、その活動には当時の日本の医学界をリードしていた多くの大学教授たちが嘱託として協力していたといわれる。

このうち七三一部隊に送り込まれた捕虜は中国人、ロシア人をはじめモンゴル人、朝鮮人などで、女性、子どもも含まれていて、彼らはマルタ(丸太)とよばれ、1000種類以上の生体実験、生体解剖に使用された。「マルタ」は2日に3体の割で「消費」され、1939~1945年だけで3000人以上が犠牲になったという。

 

南京大虐殺も忘れてはいけない事件だ。日中戦争開始から間もない1937年12月の南京入城を前後し、南京攻略戦と占領時に日本軍が行った中国の軍民への残虐行為だ。

南京の都市部や農村部で中国兵捕虜や住民らを殺害し、強姦などを重ね、犠牲者数はいまだ不明のようだが、戦後の戦勝国による東京裁判では被害者は20万人以上、国民党政府が設置し中国戦線の戦争犯罪を裁いた南京軍事法廷では30万人以上とされ、日本側研究では数万~20万人などと推計されている。

なぜ大虐殺が起こったのか、中国軍、中国人に対する蔑視があり、中国人捕虜なら殺しても問題にならないという感覚があった、との指摘がある。

また、戦時中、日本軍の関与の下でつくられた慰安所で、「お国のためのご奉公」というので慰安婦にされた朝鮮や台湾などの女性の数は、10万人とも15万人ともいわれている。

これは戦争中のことではないが、1923年に発生した関東大震災の混乱の中で、多くの朝鮮人らが虐殺された事件もあった。

 

結局のところ、ユダヤ人の絶滅を企んだナチス・ドイツにしても、中国人・朝鮮人などに残虐行為を行った日本にしても、そこには共通するものがある。それは、人権侵害を正当化する優性思想であり、反共・右翼思想だ。男女も含めて平等なんてあり得ない、人種・民族にしても優秀なのとそうでないのとがあり、富める者もいれば貧しい者もいて、それらを差別し、排除するのは当然のこと、という考え方が根底にあったのは間違いないことだろう。

 

話はハンガリーの旅に戻って、夜、というか夕方4時からは、バルトーク国立コンサートホールでの「ブダペストワーグナー・デイズ」。

ワーグナーの「ニーベルングの指環(リング)」4部作が前日から上演されていて、2日目の「ワルキューレ」のチケットを日本で取っておいたので出かけていく。

ワーグナーといえば毎年夏にドイツのバイロイトで開催されワーグナーの大作が上演される「バイロイト音楽祭」が有名だが、そのバイロイトに迫りつつある新しいワーグナーの聖地が「ブダペストワーグナー・デイズ」なのだそうだ。

アダム・フィッシャー総監督のもと2006年にはじまり、ワーグナーを専門とするオペラ歌手たちが出演して毎年6月に開催されていて、世界中の音楽ファン、とりわけワグネリアンの間では一大イベントとなっているという。

今年、6月20日から23日まで4日間にわたり上演された「ニーベルングの指環」はワーグナーが26年にわたる歳月をかけてつくり上げたオペラ史上最大の作品といわれる。台本も、ドイツの叙事詩「ニーベルゲンの歌」や北欧神話を題材にしてワーグナー自身が手がけた。

1日目「ラインの黄金」、2日目「ワルキューレ」、3日目「ジークフリート」、4日目「神々の黄昏」の4部からなり、上演に4日間、のべ約15時間を要する。

ワルキューレ」も、午後4時から始まって終わったのは9時すぎ。

あまりに長いからか、途中1時間ぐらいの休みが入っていた。お客は途中、お酒を飲んだり食事に行ったりして、ゆっくりとワーグナーの音楽を楽しんでいるみたいだった。

出演は、Magnus Vigilius(ジークムント)、Jongmin Park(フンディング)、Johan Reuter (ウォータン)、Karine Babajanyan(ジークリンデ)、Irene Theorin(ブリュンヒルデ)ほか。オーケストラはハンガリー放送交響楽団

ソリストたちはいずれも名の知れた“ワーグナー歌い”らしく、力強く美しく迫力十分。ドイツ語なので意味はわからないものの聴きいるうちに物語の世界に引き込まれていった。

翌日の帰国の日は庶民の台所、レヘル市場に寄ったりして空港へ。

ブダペストからカタール航空便でドーハで乗り換え、ドーハ発QR4850便で羽田へ。カタール航空便となっているが実際にはJALが運航していてJL50便。

このドーハ発JL50便のベテラン女性客室乗務員のホスピタリティあふれる対応がとてもすばらしく、快適な旅となった。エコノミークラスなのに、まるでファーストクラスに乗っているような気分。結局、長時間を飛行機の中ですごす上で大事なのは、ゆったりとした空間とか、リッチなサービスではなく、客室乗務員のさりげないけど心のこもった応対なのだなと強く思った。

(終わり)

セミの季節がやってきた

月曜日朝の善福寺公園は快晴。朝からカッと照りつける日差しの強さと蒸し暑さ。

 

けさはチョウをよく見る。

地面におりて給水してるらしいアカボシゴマダラ。

上池のほとりをジャコウアゲハが飛んでいる。

優雅に舞うように飛ぶのがジャコウアゲハの特徴なんだが、けさはやけにせわしない。

翅が灰色なのでメスだろうか。

葉っぱにとまると腹部の赤っぽいのがよく分かる。

 

シオカラトンボがとまっていた。

 

カワセミがエサ探しに忙しそうだった。

どうやら今、上池では、今年一番子を産んだメスのヤエちゃんとオスのマルちゃんのカップルが、二番子に挑戦中らしい。

 

シオカラトンボが交尾中。

夏の強い日差しを浴びながらも、しっかり子づくりに励んでる。

 

枝の先にはウチワヤンマ。

 

上池を半周して下池に向かっていると、高いところからセミの声が聞こえる。

ニイニイゼミの脱け殻だ!

それも1つや2つじゃない。

見える範囲で少なくとも5、6個の脱け殻を見つけたから、今年もいよいよセミの季節到来。

夏のセミのトップバッター、ニイニイゼミがまず登場。

 

下池ではカワセミの鳴き声は聞こえたが姿はなし。

 

ふたたび上池に戻ると、アカトンボがツンとお尻を上げてとまっている。

アカトンボは日差しが強いとき、太陽に向けてお尻を高く上げるポーズをとる。

なぜそうするかというと、強い日差しを受ける面積を最小にして体温上昇を防ぐ暑さ対策だと考えられているという。

 

脱皮中のカメムシを発見。

カメムシは不完全変態という形で成長する。

つまり、チョウみたいに蛹の期間はなく、卵から孵化して1齢幼虫になり、5回くらい脱皮して成虫になるという。

とすると何回目かの脱皮の途中?

 

ミスジチョウが翅をパタパタさせながら給水中か。

 

葉っぱの陰に隠れていたのは、ノコギリカミキリかな?

触角がのこぎりの歯のようにギザギザになっている。

まさかあれで樹木をギコギコやるわけではないと思うが、一体何のためギザギザなの?